大きな虫歯ができたけど、痛くはない。でも、神経を取らないといけないのかな?
大きな虫歯ができたけど、痛くはない。でも、神経を取らないといけないのかな?
安心してください、取りませんよ。と言いたいところですが、神経を取る必要があるかどうか、は、診査診断をしてから決定します。
まず、虫歯が大きいからというよりも、歯髄(神経が入ってるところ)は、虫歯に対してどんな反応をしているか、を“予測”します。“予測”の理由は別の機会でお伝えします。
それでは、歯髄が保存できる場合、生活歯髄療法が適応になります。さらに、むし歯を取っていく際に、歯髄が露出するかしないかで二種類あります。
①直接覆髄法(歯髄が露出した場合)
②間接覆髄法(歯髄が露出しなかった場合)
いずれの治療においても、成功させるためのキーポイントは、正確な診断と感染のコントロールです(b〜fは、感染のコントロールです)。
a. 正確な診断:歯髄の状態が正常か、可逆性の歯髄炎と“予測”できた場合。自発痛や、刺激に対して長引く疼痛がなければ、歯髄保存を試みることは可能かもしれません。
b. ラバーダム:ラバーダムは、感染防御の第一歩で、「基本のき」です。根管治療に限らず、唾液を術野に入れてしまうことは、医原性の感染、または、二次感染を起こし、現状が重症化してしまう可能性があります。
c. 感染歯質の除去:検知液を使ったり、象牙質の硬さを見ながら徹底的に除去します。
d. 止血(直接覆髄法の場合):出血したまま封鎖しようとすると、材料が血液で固まらなかったり、材料の抗菌効果がうすれます。
e. 封鎖性の良い材料を使う:感染させないために、封鎖性の良好な材料で歯質をあるいは歯髄を守ることは非常に重要です。
f. 速やかな修復処置:日をおかずして、被せ物、あるいは詰め物を入れることをお勧めします。
歯髄保存は、歯の寿命に影響します。歯髄があれば、根尖性歯周炎は起きません。よって、歯髄は最良の根管充填剤であることは、言うまでも無い事実です。中でも、根未完成歯(はえたての永久歯)の場合は、生活歯髄があることで歯根は形成されますから、生活歯髄療法はとても有意義なものとなります。
今回は、総論的なところで終わりとします。次回以降各論についてふれていきます。